平成の凡愚 ー電力会社は装置産業であるー

 「原発輸出は富国無徳」であるという毎日新聞のコラムへの私見を書きました。
 電力会社は火力発電や水力発電、原子力発電などで発電した電力を遠く都市へまた近隣市町村へ
送電しています。しかし発電機は自身で作っているわけではありません。例えば火力発電なら燃料は
石炭や石油それに天然ガスですが、各々の発電機は重工業企業、例えば三菱重工や
石川島播磨工業、川崎重工などの企業が製造ないし部品供給を受けて製造しています。
 電力会社はこういう企業の大事な顧客です。だから電力会社は発電機という装置を購入して、
運転技術を学び、それから自分で運転して発電します。
問題が発生すると製造した企業に問題の解決を当然ながら
要求するのです。だから製造企業に本当の技術のエキスパートがいるのです。
 原子力発電も同じことです。ただし、どの重工業企業も原子力発電機を製造できるわけではありません。
世界には主として東芝とウエスティンハウスのグループ、日立とジェネラルエレクトリック社(米)の
グループそれに三菱重工とアレバ(仏)の三つの製造グループと韓国とロシアに製造企業があります。
こういう事実をまず知らないといけません。
 野田首相も原発輸出に熱心でした。安倍首相も同じです。国の大きな負債を考えてのことでしょう。
原発輸出と福島事故は同じレベルの話ではありません。それはこれまで述べてきた視点をもう一度
読み直してくださればお分かりになるはずです。
 福島の事故のとき、もしこうした製造ないしシステムの技術者が現場にいたらすべての
電源が断ち切られても強制冷却できることに気付き迅速に対応できたかもしれません。
 ここで強調しておきたいのは電力会社は装置の運転者であり、その運転も下請けや孫請けが
かかわっているのです。
 こういう簡単な事実を知っていれば「福島原発事故が暴いたものは巨大システムの中で細分化された
専門家の無力だ」というような文が出てきません。それにこの一文は何を言おうとしているのか不明です。
 

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